高血圧は運動によってどの位改善するのでしょうか?

ゆるやかな運動を無理なく続けることが効果的です。
しかし、運動療法を始める前には、どの程度の臓器障害があって、
どの程度の運動負荷が安全か、きちんとした検査が必要です。

運動療法はなぜ良いのでしょうか?
■高血圧の非薬物療法として、欠かせないのが食事療法と並んで運動療法です。
運動療法の効果は、なかなか厳密に測定しづらいものですが、
種々の実験によってその効果が明らかになってきました。
エルゴメーター(一定の場所で自転車のペダルをこぐ機械)で
最大運動能力50%強度の運動を、1日60分、週3回、10週間続けて行った結果で、
収縮期血圧で16mmHg、拡張期血圧9mmHgもの低下を認めたということが報告されています。
それでは、運動はなぜ血圧を下げるのに役立つのでしょうか。
これは諸説がありますが、ひとつには交感神経の緊張を緩和させる
タウリンという物質が増えるため、という事が考えられています。
交感神経の緊張が緩めば、血圧も下がってきます。
タウリンは海産物に多く含まれていますが、運動によってもこのタウリンが体の中で多く合成されるのです。
この他、同じように血圧を下げる物質として、プロスタグランディンEの増加もみられますし、
逆に血圧を下げる物質、血中カテコールアミンなどが減少する事も分かっています。
また、運動療法の長所には、やめたときの反動が少ないという点もあります。
運動を10週間続けた後にしばらく休んでも、元の血圧に戻るには、
また数週間かかるという結果が出ています。
ところが、これが降圧薬ですと、薬を少しでも飲み忘れると、急激に血圧が元に戻ってしまいます。
このような危険性が少ないという点で、運動療法は非常に効果的に血圧を下げるという事になります。

運動療法を行う前の注意
■運動療法は非常に効果的ですが、全ての人に適しているわけではないのです。
例えば、臓器障害がある人には、その程度に合わせて運動を考えていかなければなりません。
次のような人には原則的に運動療法はすすめられません。

★心肥大の程度がひどく、浮腫もあり、心不全を生じる可能性の強い人

★冠状動脈不全が著明で、狭心症を生じる可能性の強い人

★新しい眼底出血ができた人

★血圧がかなり高く、脳卒中の可能性のある人

★たんぱく尿が多く、腎機能低下が著しい人

運動療法を行う前には、必ず血圧測定をはじめとし、胸部レントゲン検査、眼底検査、尿検査、血液検査、
また必要な場合には心エコー検査や負荷心電図が必要か、医師とよく相談した方が良いでしょう。

どの程度の運動が適当でしょうか
■運動というと、すぐにジョギングのようなきついものを想像する人も多いようですが、
長続きさせるためには、そんなにきつい運動をする必要はありません。
脈拍数が1分間に100〜120程度の、早足での散歩位が最も適当だといえます。
これは、一緒に歩く人と普通に会話ができる程度の運動、と考えると良いでしょう。
これを1日おきに1時間程度、毎日であれば40分も行えば十分です。
早足の散歩が退屈でしたら、全身を使う他の運動でもかまいません。
水泳、バドミントンや卓球、なわとびなどでも良いでしょう。
それも、1週間に1回ではなく、やはり最低で隔日に行う必要があります。
運動療法の大切な事は、長続きさせる事です。
「血圧が下がったらもう終わり」というのではなく、「一生続けていくもの」といった考え方が必要でしょう。