高血圧ガイドライン

はじめに 高血圧のガイドラインとしては、日本においては日本高血圧学会のガイドラインが2002年に発表されている。本稿ではより簡単な日本高血圧学会のガイドラインを中心に、ガイドラインの有用性と限界について整理する。

高血圧の評価 日本高血圧学会では高血圧の分類を簡略化し、これまでの軽症高血圧(140〜159/90〜99mmHg)をステージ1。それ以上をまとめてステージ2とした。更に、これまでの正常血圧(120〜129/80〜84mmHg)。正常値血圧(130〜139/85〜89mmHg)をまとめて前高血圧とした。この根拠は、血圧が130〜139/80〜89mmHgの範囲にあると高血圧へ進展するリスクが高いこと、115/75mmHg以上では血圧が20/10mmHg以上上昇すると心血管リスクが倍増するという報告に基づく。ただ、高血圧以外の危険因子のない患者では、血圧コントロールは依然として140/90mmHg未満とされている。


表1・血圧の分類と管理(日本高血圧学会)

血圧分類(血圧値) 生活習慣修正 初回薬物療法
正常(<120<80mmHg) 奨励する 降圧薬不要
前高血圧(120〜139/80〜89mmHg) 行う 降圧薬不要
ステージ1の高血圧       
   (140〜159/90〜99mmHg)
行う ほとんどの場合サイアザイド系利尿薬
ステージ2の高血圧         
  (≧160/≧100mmHg)
行う ほとんどの場合2剤併用(通常サイアザイド系利尿薬を含む)


表2・心血管因子(日本高血圧学会)

主要危険因子 標的臓器障害
高血圧 心臓
喫煙 左室肥大
肥満(BMI≧30kg/m2) 狭心症・心筋梗塞の既往
運動不足 冠動脈血行再建術の既往
脂質代謝異常 心不全
糖尿病
微量アルブミン尿・GFR<60mL/min 脳卒中・一過性脳虚血発作
年齢(男性≧55歳・女性≧65歳) 慢性腎疾患
早発性心血管系疾患の家族歴男性≧55歳・女性≧65歳 末梢性動脈疾患・網膜症


 

治療目標血圧値 一般的には140/90mmHg未満である。ただし、糖尿病や腎疾患を合併している高血圧患者では130/80mmHg未満と、より厳格な降圧が推奨されている。また、脳卒中再発防止や冠動脈疾患リスクの高い患者の予後効果などでも厳格な降圧がよいという報告があるので、これらも十分血圧を下げるほうが望ましい。

生活習慣の修正 日本高血圧学会では減量・減塩・運動・飲酒がそれぞれの降圧効果とともに示されている。また、禁煙によって降圧は期待できないが、心血管リスク減少には重要である。食塩摂取量の多い日本では減塩はより重要な問題であり、減塩7g/日がよいと思われる。


表3・高血圧管理のための生活習慣の修正(日本高血圧学会)

修正項目 推奨内容 収縮期血圧低下
減量 正常体重の維持(BMI:18.5〜24.9) 5〜20mmHg/10Kg
DASH食事プランの採用 果物・野菜・ならびに飽和脂肪酸・総脂肪含有量の低い低脂肪乳製品 8〜14mmHg
減塩 食塩6g/日(Na2.4g/日)に制限 2〜8mmHg
運動 定期的有酸素運動(例:早足歩行、最低30分/日、ほとんど毎日) 4〜9mmHg
節酒 エタノール換算で男性30mL/日・女性15mL/日 2〜4mmHg


心血管リスク全体の低下のための禁煙を行う。2種類またはそれ以上の組み合わせで更に良い結果が得られる