高血圧治療の現状と今後の方向性 

どんなによいガイドラインができても、いかに優れた降圧薬が開発されても、コンプライアンスが不良なら何の役にも立たない。医師の責任は大きいが、社会全体の問題として高血圧という病気の特殊性や合併症の怖さなどを認知してもらうための幅広い啓蒙が重要である。治療を早く開始し、コンプライアンスを維持して血圧を適正にコントロールすることにより、血管合併症を引き起こさないようにすることが必要である。日本人の降圧目標値であるが、WHO/ISHの指針では、若年、中年では130/85mmHg未満、65歳以上なら140/90mmHg未満としている。もう少し高めでもよいのではとの意見があるが、さまざまな衆知を持ってすれば、血圧はできるだけ低く抑えたほうがよく、心血管系疾患の発症リスクはより低下させる方向に向かうべきである。合併症を伴うことの多い老年者高血圧に対する降圧療法の有効性は確認されているが、どこまで下げたら安全か、心血管系疾患のリスクを減らせるかについてのエビデンスは十分ではない。現段階では断定的なことは言えないが、どのような血管障害を有しているかで降圧目標を自在に変えるべきであり、降圧のスピードはより緩徐であるべきであろう。