血圧のあんなコト、こんなコト


~高血圧といわれたら・・・~

[高血圧と言われたら・・・家庭で血圧測定を!!]
高血圧は心臓病や脳卒中の大きな要因です。悪化を防ぐには、血圧を定期的に測ることから始めましょう。
医療機関で測る血圧は普段の数値と異なる場合が多いので、自宅でも血圧を測定することをお勧めいたします。
[白衣高血圧って何のこと?]
高血圧患者は、日本人の4人に1人にあたる3千万人にも上がると考えられています。
ただ、中には薬は必要ないのに飲んでいる人も少なくないとみられます。
その理由は、医療機関に行った際、医師や看護師の前で血圧を測った時に、 緊張で血圧が大幅に上がる「白衣性高血圧」が含まれているからです。
しかし、最近このような「白衣性高血圧」の方でも、長年の間には心臓、動脈、腎臓などの障害が起こってくることが分かってきました。
「白衣性高血圧」はまったく無害とは言い切れないようです。
[ガイドライン2019]
白衣高血圧ほど極端でなくても、医療機関で測る血圧は一般に、家庭で測る場合より高い傾向があります。
そこで、高血圧治療ガイドライン2019(指針)では、それぞれの血圧の正常値を区別しています。
  診察室血圧 家庭血圧
75歳未満の成人
脳血管障害(両側頸動脈狭窄症・脳主幹動脈閉塞なし)
冠動脈疾患患者
CKD患者(蛋白尿陽性)
糖尿病患者
抗血栓薬服用中
<130/80
  (mmHg)
<125/75
  (mmHg)
75歳以上の高齢者
脳血管障害(両側頸動脈狭窄症・脳主幹動脈閉塞あり、又は未評価)
CKD患者(蛋白尿陰性)
<140/90
  (mmHg)
<135/85
  (mmHg)

 


~家庭血圧について~


[毎日、家庭で血圧を測定することが、なぜ大切なのですか?]
入浴・喫煙・トイレ・食事・会話など、ちょっとした刺激で血圧は上下に変動します。
特に年をとって血管が硬くなると、わずかな刺激が大きな血圧の変動となって表れるのです。
血圧測定を習慣にすることで、脳や心臓の疾患をひきおこす高血圧の予防の一つになります。
医療機関では高めでも、家庭で定期的に測って正常範囲内なら、治療の必要はない場合もあるのです。
皆さんの自宅での血圧値(家庭血圧値)を知ることは、治療をする上で重要な情報になります。
[家庭血圧の測り方を教えてください。]
朝の起床後1時間以内・食前・排尿後と夜の就寝前に測定し、それぞれ1回目の値を記入してください。
入浴や食事の直後は血圧の変動が激しいので避けてください。
必ず上腕で測ってください。

●血圧測定に適した時刻
 
朝: 起床後1時間以内、排尿後、座位(1~2分安静後に日常の座位で)
   朝食前、服薬前
 
晩: 就寝前、座位(1~2分安静後に日常の座位で)
   できるだけ食後1時間以降、排尿後、入浴前もしくは入浴1時間以降が望ましい。
 
●測る時、以下の姿勢をよく守ってください。
 
イスや正座やあぐらなど、座った姿勢で、1~2分安静にした後、上腕(肘関節より上)に腕帯を巻きます。
また測る腕の高さが心臓の高さ(乳頭の位置)になるようにして下さい。


~降圧薬~

[血圧の薬は飲み始めると一生というのは本当ですか?]
薬物療法が必要となり 、「血圧が高い状態が続けば、服用しなければならない」のですが、
「ひとたび薬を飲み始めたら一生服薬し続けなければならない」わけではありません。
血圧が下がり、心臓・脳などの合併症の危険が無くなれば、いつでもやめることが出来ます。

[血圧の薬は必ず食後に服用しなければいけないのでしょうか?]
血圧の薬は必ずしも食後に服用する必要はありません。
食後服用となっているのは、単なる服用時刻の目安として、分かりやすかったからです。
薬のなかには、食後に服用した方が効果的で安全なものもありますが、血圧をはじめとする循環器の薬は、
時間で服用する事が肝心です。食事時間が不規則な人は、食後服用にこだわらずに服用時刻を決めましょう。
空腹時に服用して胃がむかついたりする人は、食後に服用するか、いつもより多めの水で服用すると多少やわらぎます。
いずれにしても、時間薬としての認識をもつ事が必要です。


~運動~

[運動療法はなぜ良いのでしょうか?]
これは諸説がありますが、ひとつには運動することで交感神経の緊張を緩めさせる「タウリンという物質が増える」ためという事が考えられています。
交感神経の緊張が緩めば、血圧も下がってくるのです。
また、運動をやめたときの反動が少ないという利点もあります。
例えば運動を10週間続けた後にしばらく休んでも、運動前の血圧に戻るには、数週間かかるという結果が出ています。
ところが、これが降圧薬ですと、薬を少しでも飲み忘れると、急激に服薬前の血圧に戻ってしまいます。
このような危険性が少ないという点で、運動療法は非常に効果的に血圧を下げるという事になります。
[どの程度の運動が適当でしょうか?]
運動というと、すぐにジョギングのようなきついものを想像する人も多いようですが、長続きさせるためには、そんなにきつい運動をする必要はありません。
散歩であれば一緒に歩く人と普通に会話ができる程度位が最も適当だといえます。
これを1日おきに1時間程度、毎日であれば40分も行えば十分です。
「血圧が下がったらもう終わり」というのではなく、「継続していくもの」と考え自分に合った運動を行いましょう。
[運動療法の注意点はありますか?]
運動療法は非常に効果的ですが、全ての人に適しているわけではないのです。
例えば、臓器障害がある人には、その程度に合わせて運動を考えていかなければなりません。

次のような人には原則的に運動療法はすすめられません。

★心肥大の程度がひどく、浮腫もあり、心不全を生じる可能性の強い人
★冠状動脈不全が著明で、狭心症を生じる可能性の強い人
★新しい眼底出血ができた人
★血圧がかなり高く、脳卒中の可能性のある人
★たんぱく尿が多く、腎機能低下が著しい人

医師とよく相談してから行うのが良いでしょう。

 

医療連携携帯手帳について
今は病院と診療所の「病診連携」、診療所と診療所の「診療連携」など、地域に育まれた医療連携の時代です。
当院ではご自身の内服薬・外来血圧・検査報告書などが添付されている医療連携携帯手帳を皆さんにお渡ししています。
他の医療機関に受診する時もこの医療連携携帯手帳を持っていけば、ご自身の情報を提供することができます。